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自殺しないで!

 一年近く、このブログに何も書き込むことが出来なかった。それほど、わたしの受けたダメージは大きく、
ショック状態から立ち上がることが出来なかった。
 彼は、50代後半の男性、若い時から「統合失調症」を病み、同じ病気の妻と共に暮らしてきた。独立心
が強く、よく働いたが、時々状態が悪くなって、入退院を繰り返した。15年ほど前に妻が他の病気で死に、
孤独になった。酒も加わり、近所で騒いだり、最後には、精神病院の院長の家に暴れこんだので、長期入
院となり、10年以上を病院内で過ごした。すっかりおとなしくなり、色も白く、小太りになった彼は、かわい
そうだった。問題は起こすが、活発に働いていた彼が好きだった。
 病院は、なかなか面会をゆるしてくれなかった。何回も掛け合い、家族のふりをして、やっと合わせてもら
えるという状態だった。その場合でも看護人がそばに付いた。この病院は、他にもいろいろな問題を起こし、
指導を受けて、改善され、面会がゆるされるようになった。さらに、退院者のための施設を作り、デイケアも
整え、さらには、良い状態の人々をグループホームに入れるようになっていった。この方針は良い。
 彼は、次第に社会復帰のコースを歩みだし、グループホームでの生活をするようにまでなった。しかし、
喜んでいられるだけではすまなかった。彼と付き合うときに伴う数々の問題を、わたしは抱え込む覚悟をし
なければならなかった。元気になり、社会に出てきた彼は、ひんぱんに電話をかけてきた、行きたい所が
あれば、連れて行ってくれとせがんだ。わたしは、覚悟を決めて、だめなことはだめと言い、しかし、出来る
限り付き合うことにした。
 夏、「今度の日曜日には、教会の礼拝に出たいから、迎えにきてくれ」と言うので、朝迎えに行く約束を
した。 数日後、先に入所していた施設の友人から、わたしに電話があった。「昨夜、彼は自殺しました」
と、彼は告げた。 このところ、ハイの状態が続いていた、すこしはしゃぎすぎていると思ってはいたが、
それが一挙に、落ち込んで、元気と、絶望の境目で、死を決行してしまった。
「今夜、12時に決行する」とだけ書いた紙切れが残されていた。
 退院しなかった方が良かったのか。もちろん、まわりに、わたしなどよりももっと細やかに気をつけてくれ
る保護者がいてくれたら良かったに違いない。しかし、何と言ってもせんないことである。わたしは、だだの
友人でしかなかった。それ以上の者になることは出来なかった。しかたがない。しかし、それでも、彼の
人生を応援する友人の一人であると思っていた。しかし、何の役にも立たなかった。
 わたしは、ショックを受けた。謙虚にされたのは事実である。限界を悟った。しかし、このような病気を抱え、
社会復帰をしようとする人々に、もっと細やかな社会の支援が必要だと痛感した。
 そして、皆に言いたい。仮に病気の状態で、自殺念慮が起こったとしても、自殺の誘惑や、引き込むような
力に捕らえられたとしても、それでも、自殺の決行は思いとどまってほしい。あなたの死を本当に悲しむ者が
いるから。人間仲間がつらいから。そして、そんな試練を共に乗り越えて、生きていくのが人間だから。
                                              2006年7月2日

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